展示会に出展することは多いもの。展示会出展の最終的なKPIは新規顧客獲得数や新規契約数ですが、それらの数値と直接的に関わってくるのがブースの集客力です。通常ブースに人が集まればその中から一定割合で契約までこぎつける事ができるわけですから当然といえば当然ですよね。
一方でブースへの集客は一筋縄ではいかないものです。展示会費用は出展・什器の購入・人員配置で、例え一小間の出展でも50万円をゆうに超える大きな出費です。しかし、出費に見合った契約数に達するのはなかなか難しいもの。「結局ウチの製品やサービスが良くないのかもしれない…」そんな風に悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
展示会の什器制作をお仕事にしているとブース集客に成功する企業と失敗する企業にはそれぞれ特徴があることも分かってきます。そしてそれは、企業の製品の良し悪しとはまた別の次元にあるものです。
あなたのブースが集客できないのは製品やサービスの力がないのではなく、集客するノウハウを持っていないだけなのかもしれません。そうであれば、少しブース設営の方法を変えるだけで見違えるように集客することもできるのです。
今回はそんなブース集客に成功する企業の特徴をまとめてみました。簡単なTipsばかりなので次の展示会からすぐに応用することができますよ!
コンテンツが多い
人を集めること。それはそのブースの前を通るできるだけ多くの人に興味を持ってもらうことから始まります。そして、人の興味を引く対象は、常に「コンテンツ」です。コンテンツと言っても難しく考える必要はなく、製品やサービスの一つ一つ、あるいはそれらの持つ物語、成功事例、活用方法の一つ一つが全てコンテンツです。このコンテンツを数多くブース内に配置している企業が人を集めることが出来るのです。
人の興味関心は十人十色。色々なニーズや感性を持った来場者がブースの前を通ります。ニーズや感性というと、まず「その人が何を探して展示会に来場したか?」を考えますよね。しかし、「ビジネスパーソンとしての展示会への来場目的」ももちろん大切なのですが、それ以上に大切なのは来場者はビジネスパーソンである以前に一人の趣味嗜好を持った人間であるということ。それぞれに惹かれるデザインや色、音、機能などを持っています。
可愛いもの、メタリックなもの、シンプルなもの、機能がたくさん盛り込まれたもの、色々なものに色々な人が惹かれます。
彼らの全てに訴求するコンテンツというものはありません。そのため、様々なニーズや感性を持った人の一群に高い確率で訴求するには、たくさんのコンテンツをブースにおいてそのうちのどれか1つにでも惹かれてもらうことを期待するのが最善手です。
コンテンツを多く揃えることで、異なる感性やバックグラウンドを持った多くの人たちに同時にアピールすることが出来ます。ブースにはまず、「たくさんのコンテンツを置くこと」を心がけましょう。
什器の上はもちろん、壁紙、床にもコンテンツは盛り込めます。壁にもコンテンツを盛り込んだブースには多くの人が訪れます。
一方、きれいにまとまっていてもブースの中に物が少ないと、人をひきつけることは出来ません。
通路近くに目を引くコンテンツを置く
コンテンツを一定数用意したとします。次に考えるのは、コンテンツの配置ですよね。通路近くに最もキャッチ-なものを置くのがコンテンツ配置の原則です。ここで「キャッチー」と言うのは見て一瞬で惹きつけられるような、そんな視覚的なキャッチーさです。
ブースに訪れる人がまずはじめに出会うのは通路近くに置かれたコンテンツです。ここで興味を持ってもらえて初めてブースに興味を持ち、中にはいってみようかなという気持ちになるわけです。このような島がブースの入口にあれば、気になりますよね。
来場者は何百社もの企業が通路の両側に配置した膨大な数のコンテンツと向き合っています。その中では、ライバルに勝るような視覚的なキャッチーさがなければいくら中身が充実したブースであっても気づいてもらうことはできません。いくらコンテンツが良くても通路付近にものを置かなかったら興味を持ってもらうことは難しくなります。例えばこのブースは気を引くものを中に配置していますが、通路近くに何も置いていないため心理的に入りづらい印象になっています。
また、いくら通路側にコンテンツを置くといってもこのような新鮮味のない物を置いてしまうと効果半減ですよね。
まず「気づいてもらうこと」。そのために「通路近くに視覚的に惹きつけられるもの」を置くこと。これだけでブースの集客力は大きくアップします。
ブース内が見渡せる
通路近くにキャッチーなコンテンツをおきました。運良く目を留めてくれた人が次に見るのは、「他にどんなコンテンツがあるのか?」ということ。つまり、ブース内のコンテンツを通路からチェックするのです。
そのときに什器などで遮られて中の様子が見えなければ、みすみす注意を引き付けないままその人をリリースしてしまうことになります。見えたならばその人の注意をひきつけたかもしれないのに、あまりにもったいないですよね。
中のコンテンツに興味を持ってもらうには、まず「見える」ことが必要です。背の高い什器、パビリオン型の外から中が見えないブースデザインなどはスタイリッシュなものも多くどうしても採用したくなってしまいますが、来場者の注意を引き付けるのにはマイナスに働きがちなのです。
下の画像が典型的ですね。展示品に非常に費用が掛かっているのは見て取れますが、内部の様子が見て取れないブースにしてしまっており、人を集めることができていません。
ブースの中に配置されたコンテンツは全て通路から見えるように什器を配置しましょう。背の高いものは使用せず、目線の高さ以上の什器は極力おかないのが無難です。このようにシンプルなブースの方が人を呼ぶことができるのです。
体験を重んじ文字情報を廃する
展示会に来場する人にとって、時間は有限です。展示会場に無数にあるブースの中から自分に必要なものを見つけ出さなくてはならないわけですから、一つ一つのブースのコンテンツ内容を精査している時間はありません。極論すれば、ブースを見た瞬間、0.01秒でそのブースに時間を割くかどうかを決めているのです。
ですから、コンテンツは0.01秒で来場者の気を引けるものでなくてはなりません。それ以上かかると来場者の気持は別のものへ移ってしまいます。
文字情報は、読んで理解する工程が必要となり、0.01秒のスクリーニングでは切り捨てられます。下のブースは文字情報が多いので、詳しく見れば良いコンテンツを揃えているのですが、一瞬で伝えることはできていません。
一方、感覚に訴えるものは0.01秒でもしっかりと人の印象に残ります。ですから、展示会のブース内のコンテンツは文字情報を極力廃して視覚や聴覚、触覚、嗅覚など、感覚に訴える体験型コンテンツを用意しましょう。
体験型と言っても難しいものではなく、製品やサービスを実際に見る・手に取る・体験する、など製品やサービスを使ったときの感覚をありありと想像させるような展示であれば十分です。
文字情報を配したポスターやパネルを用意するくらいなら、フォトジェニックな画像を配した大版壁紙や実際の製品などを一目見て分かるように展示するのが良いでしょう。下のように、「持ってみてOK!」など簡単な体験コーナーを用意するのも効果的です。
一瞬で伝わるイメージで、相手に製品のいちばん本質的な良さを理解して貰える展示となるのが理想です。
動線を塞がない
人をブースに呼び込む際、動線の確保は生命線です。展示会において、ブースに興味を持つか持たないかの判断は0.01秒。動線を塞いで物理的に入りにくくなると、その印象が「入りにくそう…」という心理的な壁となってしまいます。
特に、人やマスコットキャラクターなどを配置するとそれだけで心理的な圧迫感を与えてしまいます。間口を取ったつもりでもその存在感で動線を塞いでしまうことがありますので、人員配置やマスコット配置は動線を塞がないよう細心の注意を払うと良いでしょう。
動線が断ち切られたところから、新たに動線を探してまで立ち寄りたいと思わせるのは至難のわざです。関心の薄い層をいかにブースの中に誘導出来るかが展示会の成否を決めると言っても過言ではありません。
人を呼ぶブースは来場者の動線を確実に、広く確保しています。逆に動線が確保できていないブースは人を呼べていません。動線を作ったら、それを塞がないように人員配置をしたいものですね。
まとめ
展示会に出展する際は、
- コンテンツを増やす
- 通路近くにキャッチーなコンテンツをおく
- ブース内が見渡せる
- 体験を重んじ文字情報を廃する
- 動線をふさがない
の5点を念頭に、事前に入念に戦略を立て設計すると成功率は大きく上がります。
せっかく大金をかけて出展するのですから、少しでもお客様に来ていただき自社の商品やサービスを知ってほしいですよね。そのために大切なポイントを抑えて準備をすることができれば良いですね。
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