みなさんは横断幕やタペストリーを作る時にどうやって生地を選んでいますか?使う場所・重さ・メンテナンスなど考えることがたくさんあって混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。かくいう私も、横断幕やタペストリーの生地選びには毎回頭を悩ませています。今回はそんな悩ましい生地選びのポイントを纏めてみました。これさえ読めば、横断幕やタペストリーを作ってみたはいいものの使いたい場所で使えなかった、なんて残念な経験をすることなく大満足の作品が制作できますよ!
なお、収納や洗濯の方法について詳細な記述は先日の記事に譲り、今回はあまり詳しく触れません。収納や洗濯方法について詳しく知りたいという方はこちら。
生地別の印刷方法についてはこちら。
さて、今回取り扱うのは以下の主流な横断幕・タペストリー生地8種類です。
- スウェード
- トロマット
- トロピカル
- ポンジ
- ターポリン
- メッシュターポリン
- グロスターポリン
- 遮光ターポリン
それでは、それぞれの生地の主な用途と特徴を見ていきましょう!
スウェード
出典:BANTEC
材質 | 屋内常設 | 屋外常設 | 持ち運び | 見た目 | 防炎性 | 両面印刷 | 価格 | |
スウェード | ポリエステル | ◯ | ✕ | ◯ | ◎ | ✕ | ✕ | ✕ |
スウェードはサテンのような光沢のある、高級感を備えた生地です。テーブルクロスや高級感のある横断幕・タペストリーなどにおすすめです。
重さ
後述するポンジやトロピカルほどではありませんが軽くて持ち運びが簡単です。
耐候性
布に染料を印刷するか、染色するかによって着色する素材です。雨風にさらされると布自体も劣化しますし、着色も劣化します。基本的には屋内で使用する素材ですので、屋外での使用は一時的なものにとどめ、もし雨に濡れたり汚れたりしてしまった場合は記事の一番初めにご紹介した収納・洗濯に関する記事に従ってメンテナンスしてください。
収納・メンテナンス
ポリエステル製の布地ですので畳んで保管でき、収納に場所をとりません。メンテナンスには比較的手間がかかります。スエードの売りである高級感ある見た目は汚れてしまうと損なわれてしまう上に、繊維を織って作った布地なので汚れがつきやすく落としにくいためです。それなりに注意して扱い、汚れてしまった場合はできるだけ早く洗濯をしてください。
見た目
サテンのような光沢のある美しい見た目です。発色も鮮やかですので見た目を重視したい方におすすめです。
防炎性
可燃性物質ですのでそのままですと防炎性は全くありません。この生地を使用する際は防炎加工が必要かどうか、横断幕やタペストリーを掲示する場所の管理者に確認してください。防炎加工が必要な場合は発注の際販売店にその旨を伝えてください。
両面印刷
基本的に両面印刷は出来ません。ただし販売店によっては遮光スウェードという生地を取り扱っており、そちらであれば両面加工可能です。もちろん、その分コストは上がります。
価格
高級感のある生地ですので、価格も高めになってしまいます。
トロマット
出典:MAKUMAKU
材質 | 屋内常設 | 屋外常設 | 持ち運び | 見た目 | 防火性 | 両面印刷 | 価格 |
ポリエステル | ◯ | △ | ◯ | ◯ | ✕ | ✕ | △ |
それなりに安価かつ丈夫な素材で、屋内で使用する生地の中ではバランスが取れています。屋内で使用する横断幕・タペストリーで困ったらトロマットにしておけば大きく外すことはないでしょう。スポーツクラブの応援幕や団幕、長期間の使用を前提とした販促品をはじめとして、屋内に掲示される各種横断幕・タペストリーに広く使われています。
重さ
後述するポンジやトロピカルほどではありませんが軽くて持ち運びが簡単です。
耐候性
スウェードよりは丈夫な生地ですので、一回の掲示期間が1日くらいであれば繰り返して屋外で用いる事ができます。その際は販売店に屋外で用いたい旨を伝え、屋外用の印刷方法や加工を施してもらえればほとんど心配はないでしょう。もし雨に濡れたり汚れたりしてしまった場合は記事の一番初めにご紹介した収納・洗濯に関する記事に従ってメンテナンスしてください。
収納・メンテナンス
ポリエステル製の布地ですので畳んで保管でき、収納に場所をとりません。メンテナンスの手間はスエードほどではありません。ただやはりトロマットも繊維を織って作った布地なので汚れがつきやすく落としにくいです。汚れてしまった場合はできるだけ早く洗濯をしてください。
見た目
後述するポンジやトロピカルに比べると厚手の丈夫な生地です。布地の風合いがしっかり出ます。安っぽい印象をあたえることはあまりありません。
防炎性
可燃性物質ですのでそのままですと防炎性は全くありません。この生地を使用する際は防炎加工が必要かどうか、横断幕やタペストリーを掲示する場所の管理者に確認してください。防炎加工が必要な場合は発注の際販売店にその旨を伝えてください。
両面印刷
基本的に両面印刷は出来ません。
価格
後述するポンジ・トロピカルほどではありませんが、それなりに安価です。
トロピカル
出典:幕市場
材質 | 屋内常設 | 屋外常設 | 持ち運び | 見た目 | 防火性 | 両面印刷 | 価格 |
ポリエステル | ◯ | ✕ | ◯ | ◯ | ✕ | ✕ | ◯ |
トロピカルはトロマットよりも薄手、ポンジよりも厚手の生地です。屋内に掲示する横断幕・タペストリーで、コストは抑えたいがポンジほど安っぽい生地はちょっと…という場合に最適です。短期間の使用を前提とした量産型販促品に使われることが多いです。
重さ
軽くて持ち運びが簡単です。
耐候性
布に染料を印刷するか、布を染色するかによって着色する素材です。雨風にさらされると布自体も劣化しますし、着色も劣化します。基本的には屋内で使用する素材ですので、屋外での使用は一時的なものにとどめ、もし雨に濡れたり汚れたりしてしまった場合は記事の一番初めにご紹介した収納・洗濯に関する記事に従ってメンテナンスしてください。
収納・メンテナンス
ポリエステル製の布地ですので畳んで保管でき、収納に場所をとりません。メンテナンスの手間もそれほどありません。ただやはりトロピカルも繊維を織って作った布地なので汚れがつきやすく落としにくいです。汚れてしまった場合はできるだけ早く洗濯をしてください。
見た目
生地が薄手で少し安っぽいですが、短期間使用する販促品としてなら見劣りはしないでしょう。薄いという点は裏抜け(表の印刷が裏からでもはっきり見えること)しやすいという利点も持ちます。この点を生かしてのぼり旗として使うのも良いでしょう。
防炎性
可燃性物質ですのでそのままですと防炎性は全くありません。この生地を使用する際は防炎加工が必要かどうか、横断幕やタペストリーを掲示する場所の管理者に確認してください。防炎加工が必要な場合は発注の際販売店にその旨を伝えてください。
両面印刷
基本的に両面印刷は出来ません。
価格
薄手の生地ですので価格は安めです。
ポンジ
出典:MAKUMAKU
材質 | 屋内常設 | 屋外常設 | 持ち運び | 見た目 | 防火性 | 両面印刷 | 価格 |
ポリエステル | ◯ | △ | ◯ | △ | ✕ | ✕ | ◎ |
ポンジは非常に薄手のポリエステル素材です。お近くの小売店で使われているのぼり旗を思い浮かべていただければ、その生地がポンジです。大変安価ですが見た目も安っぽく、耐久性もそれほどありません。屋外OKですし、もともとそれほど大切に長く使うような生地ではないので雨や汚れを気にせず使える取り回しの良い生地ですね。コストを抑えたい短期間使用の量産型販促品に最適です。
重さ
本稿でご紹介する生地の中では最も軽くて持ち運びが簡単です。
耐候性
屋内でも屋外でも使える生地です。ただし、どちらにしてもそれほど耐久性はありません。
収納・メンテナンス
ポリエステル製の布地ですので畳んで保管でき、収納に場所をとりません。メンテナンスも簡単…というよりは、耐久性が乏しいので大切にメンテナンスする必要があまりありません。むしろ汚れても雨に濡れても気にせず使って駄目になったら捨てる、ができる点がポンジの長所ですね。
見た目
小売店ののぼり旗の生地ですので、それなりの見た目です。薄いという点は裏抜け(表の印刷が裏からでもはっきり見えること)しやすいという利点も持ちます。この点からも、のぼり旗に適合しやすい生地です。
防炎性
可燃性物質ですのでそのままですと防炎性は全くありません。この生地を使用する際は防炎加工が必要かどうか、横断幕やタペストリーを掲示する場所の管理者に確認してください。防炎加工が必要な場合は発注の際販売店にその旨を伝えてください。
両面印刷
基本的に両面印刷は出来ません。むしろ、表の印刷が裏抜けする点を生かした使い方をしたい生地です。
価格
非常に安価で、コストを抑えた製作には最適です。
ターポリン
出典:グランド印刷株式会社
材質 | 屋内常設 | 屋外常設 | 持ち運び | 見た目 | 防火性 | 両面印刷 | 価格 |
塩ビ |
◯ | ◯ | ✕ | ◯ | △ | ✕ | △ |
ターポリンは屋外に常設する横断幕やタペストリー生地の中では最も一般的な生地です。テント生地が大判でない、風が強いところや高所に掲示しない、両面印刷しないのであればターポリンを選んで間違いはないでしょう。
重さ
塩ビの生地ですのでかなり重いです。持ち運びが頻繁に必要であれば、ターポリンはあまり便利な選択肢ではありません。
耐候性
耐候性に優れた生地です。印刷方法は何種類かありますがどれも雨風には強いものばかりですので安心して屋外で使えます。
収納・メンテナンス
筒状に丸めて保管します。畳んで保管すると印刷の傷みの原因となります。メンテナンスは簡単です。塩ビの生地は撥水性がありますのでもともと汚れが付きづらく染み込むこともありません。汚れがついた場合は柔らかい布で拭き取ってください。印刷方法が溶剤インクジェットプリントの場合は強くこすると印刷が傷むことがありますので気をつけてくださいね。詳しくは本稿の最初にご紹介した保管・洗濯に関する記事をご参照ください。
見た目
テントの生地に印刷しますので、織り目による凹凸感のない平板で鮮やかな発色になります。
防炎性
ほとんどの販売店で取り扱っているターポリンには防炎性能が備わっていると思われますが、防炎品である必要がある場合は販売店のサイトで確認するか問い合わせをして確認をしてください。
両面印刷
基本的に両面印刷は出来ません。
価格
屋外常設の可能な生地の中では最も安価です。
メッシュターポリン
出典:グランド印刷株式会社
材質 | 屋内常設 | 屋外常設 | 持ち運び | 見た目 | 防火性 | 両面印刷 | 価格 |
塩ビ |
◯ | ◯ | △ | △ | △ | ✕ | △ |
塩ビ製のメッシュ状の生地です。風が通りますので、風圧に強いです。大型の横断幕、風が強いところに設置する横断幕、高所に設置する横断幕は通常のターポリンを用いて風穴を開けずに作ると裂けてしまいますので、メッシュターポリンをおすすめします。工事現場の養生シートによく使われています。
重さ
塩ビの生地はどれも比較的重いのですが、メッシュですので他の塩ビ生地よりは軽いです。屋外常設と持ち運びを予定しているならこちらを検討すると良いでしょう。
耐候性
耐候性に優れた生地です。印刷方法は何種類かありますがどれも雨風には強いものばかりですので安心して屋外で使えます。
収納・メンテナンス
筒状に丸めて保管します。畳んで保管すると印刷の傷みの原因となります。メンテナンスは簡単です。塩ビの生地は撥水性がありますのでもともと汚れが付きづらく染み込むこともありません。汚れがついた場合は柔らかい布で拭き取ってください。印刷方法が溶剤インクジェットプリントの場合は強くこすると印刷が傷むことがありますので気をつけてくださいね。詳しくは本稿の最初にご紹介した保管・洗濯に関する記事をご参照ください。
見た目
メッシュの上に印刷するので非常に目の粗い印刷になります。デザイン性やきめ細かい表現を求める際には向きません。反面、メッシュなのでシースルーの効果があります。シースルーの効果が欲しい場合はメッシュターポリンが良いかもしれませんね。
防炎性
ほとんどの販売店で取り扱っているメッシュターポリンには防炎性能が備わっていると思われますが、防炎品である必要がある場合は販売店のサイトで確認するか問い合わせをして確認をしてください。
両面印刷
基本的に両面印刷は出来ません。シースルーが持ち味の生地です。
価格
通常のターポリンと同じく屋外常設の可能な生地の中では安価な部類です。
グロスターポリン
出典:Hot Print
材質 | 屋内常設 | 屋外常設 | 持ち運び | 見た目 | 防火性 | 両面印刷 | 価格 |
塩ビ |
◯ | ◯ | ✕ | ◎ | △ | ✕ | ✕ |
表面に光沢のあるターポリンです。その分コストは上がります。デザイン性が重要な高級感ある販促品によく用いられます。
重さ
塩ビの生地ですのでかなり重いです。持ち運びが頻繁に必要であればグロスターポリンはあまりおすすめしません。
耐候性
耐候性に優れた生地です。印刷方法は何種類かありますがどれも雨風には強いものばかりですので安心して屋外で使えます。
収納・メンテナンス
筒状に丸めて保管します。畳んで保管すると印刷の傷みの原因となります。メンテナンスは簡単です。塩ビの生地は撥水性がありますのでもともと汚れが付きづらく染み込むこともありません。汚れがついた場合は柔らかい布で拭き取ってください。印刷方法が溶剤インクジェットプリントの場合は強くこすると印刷が傷むことがありますので気をつけてくださいね。詳しくは本稿の最初にご紹介した保管・洗濯に関する記事をご参照ください。
見た目
テントの生地に印刷しますので、織り目による凹凸感のない平板で鮮やかな発色になります。表面の光沢が美しく、高級感ある仕上がりになります。
防炎性
ほとんどの販売店で取り扱っているグロスターポリンには防炎性能が備わっていると思われますが、防炎品である必要がある場合は販売店のサイトで確認するか問い合わせをして確認をしてください。
両面印刷
基本的に両面印刷は出来ません。
価格
塩ビ系の生地はもともと値段が高めなうえ、表面にコーティングがしてあるためどうしても高価になってしまいます。
遮光ターポリン
出典:旗・幕ドットコム
材質 | 屋内常設 | 屋外常設 | 持ち運び | 見た目 | 防火性 | 両面印刷 | 価格 |
塩ビ |
◯ | ◯ | ✕ | ◯ | △ | ◯ | ✕ |
両面印刷が可能なターポリン生地です。その分重く高価になりますので、基本的には両面印刷が是非とも必要なときのみ使うべき生地といえます。
重さ
塩ビの生地の間に遮光材を挟んだものですので、ターポリン生地の中でも最も重いです。持ち運びの予定がある際は注意してください。
耐候性
耐候性に優れた生地です。印刷方法は何種類かありますがどれも雨風には強いものばかりですので安心して屋外で使えます。
収納・メンテナンス
筒状に丸めて保管します。畳んで保管すると印刷の傷みの原因となります。メンテナンスは簡単です。塩ビの生地は撥水性がありますのでもともと汚れが付きづらく染み込むこともありません。汚れがついた場合は柔らかい布で拭き取ってください。印刷方法が溶剤インクジェットプリントの場合は強くこすると印刷が傷むことがありますので気をつけてくださいね。詳しくは本稿の最初にご紹介した保管・洗濯に関する記事をご参照ください。
見た目
テントの生地に印刷しますので、織り目による凹凸感のない平板で鮮やかな発色になります。
防炎性
ほとんどの販売店で取り扱っているターポリンには防炎性能が備わっていると思われますが、防炎品である必要がある場合は販売店のサイトで確認するか問い合わせをして確認をしてください。
両面印刷
両面印刷できます。むしろ両面印刷する予定がないのならば別のターポリンを使うべきです。
価格
非常に高価です。
まとめ
代表的な横断幕・タペストリーの記事をご紹介してきました。最後に、代表的な販売店の扱う生地を一覧表にして乗せておきます。使いたい生地が決まったらその生地を取り扱っている販売店を選んで発注しましょう!
MAKUMAKU | 横断幕・懸垂幕キング | のぼり屋さん | プリオ | グラフィック | BANTEC | 大型出力屋 | |
スウェード | ◯ | ◯ | |||||
トロマット | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
トロピカル | ◯ | ◯ | |||||
ポンジ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |||
ターポリン | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
グロスターポリン | ◯ | ◯ | |||||
メッシュターポリン | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
遮光ターポリン | ◯ | ◯ | ◯ |
また、販売店によってはここに挙げた一般的な生地以外の特殊生地を取り扱っているところがあります。もし見た目にこだわりたいという場合は販売店のサイトを回って自分にピッタリの生地を探してみるのも楽しいですよ!
使う場所や製作目的、使用期間などを勘案して後悔しない横断幕・タペストリー作りができると良いですね。
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